有坂汀の音楽レビュー

私、有坂汀が今まで聞いていた音楽や、最近お気に入りの音楽をアルバム中心に紹介するブログです。

フライデイ・ナイト・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード+1

本作品はアート・ペッパーの完全復活を

決定付けた伝説のヴァンガード・3デイズのうち、

2日目に行われたライヴ録音をCD化したものです。

これは個人的な思い入れなのかもしれませんが、

順風満帆な人生を送っている人間が作っているもの

(実際に生きる人生はそっちのほうがよっぽどいいが)

よりは、一度身も心もズタズタになるほど手痛い敗北や

挫折を喫した人間が「華麗なる復活」を

遂げたも人間の方が心にぐっと来るのは、

それだけ僕が不自然な意味で「老成」して

しまったせいでありましょうか?

それはさておいて、夜長に一人で聞くにはとても良い

アルバムで、ただただ、音に身を委ねる快感を

僕に教えてくれたアルバムでございました。

3曲目の「キャラヴァン」ではむせぶように熱い

テナー・サックスの音が流れ、ジャズの素晴らしさを

僕に教えてくれるものでありました。

俗に「オーディオ・マニア」という方々がいて、

「理想の音」を求めて巨額の金を周辺機器に注ぎ込む

気持ちがなんとなく分かりました。これを、

こだわりぬいた音響機器で聴くと、きっと魂が

震えるんだろうな、と。そんなことをこの文章を

書いていて心からそう思います。