ベスト落語 八代目 春風亭柳枝 「花色木綿」「王子の狐」
八代目春風亭柳枝師匠の落語を収録した、
人気落語家たちの十八番を中心に収録した
『ベスト落語』シリーズであります。
経歴を見てみると、戦時中に真打へと昇進し、
倒れ、53歳の若さで亡くなった噺家なのだそうで、
早逝が本当にしのばれます。収録されている演目も、
「花色木綿」と「王子の狐」 の2本でありまして、
「花色木綿」は泥棒の出てくる話で、これは前座噺が多いものらしく、
こういうものもあるんだなぁ、と思って聞いておりました。
「王子の狐」は、よく
「狐は人間を化かす動物だ」
という話を耳にしますが、信じる信じないは別として、ここでは
あべこべに人間が狐を騙すという面白さを描いた噺であります。
舞台となった「扇屋」というのは王子に実在し、最近まで
営業を行っていたのですが、今では王子焼だけの販売のみを
行っているのだそうです。こういう話を聞くだけでも、
物語世界の中に深く入っていけたような気が致します。