二人
歌手、奥田美和子さんのデビュー・アルバムです。彼女のことを
はじめて知ったのはTBS系 金曜ドラマ『ヤンキー母校に帰る』であり、彼女が歌っていた
『青空の果て』でした。作詞をしていたのが芥川賞作家の柳美里さんだということも僕の興味を
惹いたのかもしれません。彼女は高校を中退し、上京後17歳でシンガーとしてデビュー。
しかし、好きな歌を歌っていても自分の居場所を見つけられず、歌手としての活動を休止し、
悩み続けて2年。そのときに読んだ本のひとつが『命』四部作であったことから、
彼女は柳美里さんに手紙を書き、作詞とプロデュースをやってもらうようになったのだそうです。
柳美里さんと歩んだ時間は、彼女にとってかけがえのないものとなり、その二人の軌跡が
結実したのが、このアルバムとなったと聞いております。
お互いにプライベートでは極力会わない、という形でつくられたというエピソードを持っていたり、
ロングヒットとなっていて、僕もお気に入りの一曲でもある『雨と夢の後に』などをはじめとする
13曲すべてを柳美里さんが作詞しているしているということも大きな話題となりましたが、
全体に流れている
“生きる苦しみとそれ故に求める愛”。
お互いの手紙のやり取りから生まれた『はばたいて鳥は消える 』これをレコーディングしていた
ときは本当に泣きながら歌っていたのだそうです。最期のほうに収録されている『青空の果て』
とちょうど一対になっている『絶望の果て 』ピアノをバックに切々と歌い上げる彼女の
歌唱力は、本当に素晴らしいものであると思っております。
現在も彼女は、歌手として活動をされているそうで、途中、合間合間に音楽活動を
休止していた時期もあったと伺っておりますが、今後も彼女には歌い続けていって欲しいなと、
そんなことを願ってやまない自分がいるのです。